【マーベルMCU】『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』ネタバレあり感想&考察|ティ・チャラを失った世界で、シュリが選んだ未来

こんにちは、ゆーです!
今回は、映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』についてお届けします!
ワカンダの王であり、ブラックパンサーだったティ・チャラ。
その突然の死から始まる物語は、現実にチャドウィック・ボーズマンを失った私たちの悲しみとも重なりましたね…。
ブラックパンサーを受け継ぐとは、どういうことなのか。
失った人の想いとともに、どうやって前へ進んでいくのか。
今回は『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』を振り返りながら、喪失と復讐、そして継承について、ネタバレありで感想&考察をお届けします!
https://marvel.disney.co.jp/movie/blackpanther-wf
物語を振り返りつつ、感想&考察をお届けします~!
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概要・あらすじ(ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー)
| 公開日 | 米・日:2022年11月11日 | ||
|---|---|---|---|
| 監督 | ライアン・クーグラー | ||
| 制作 | ケヴィン・ファイギ ネイト・ムーア | ||
| 時間 | 161分 | ||
偉大な王であり、守護者であるティ・チャラを失ったワカンダ王国。悲しみに打ちひしがれる中、謎の海底王国タロカンからの脅威が迫る…。ワカンダと世界を揺るがす危機に、残された者たちはどう立ち向かうのか。そして、新たな希望となるブラックパンサーを受け継ぐ者は誰なのか…。絶対的な存在を失いながらも、未来を切りひらく者たちの熱き戦いを描いたドラマチック・アクション超大作が始まる!第80回ゴールデングローブ賞 助演女優賞受賞!
https://marvel.disney.co.jp/movie/blackpanther-wf
お気に入りの作品を観返すのはもちろん、新しい物語との出会いも!
映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』を振り返る
以下より物語のネタバレを含みます
①偉大な存在を失ったワカンダ王国
物語の冒頭で描かれるのは、ワカンダ王国の国王ティ・チャラの危篤。
妹シュリの奮闘もむなしく、ティ・チャラが逝去したことが告げられるシーンで作品は幕を開けます。
現実とリンクするような形で描かれた物語
2018年に公開された映画『ブラックパンサー』。
この作品の続編として続編の製作が進められていましたが、ティ・チャラ/ブラックパンサーを演じたチャドウィック・ボーズマンが2020年に大腸がんで亡くなってしまいました。
これを受け、代役を立てて従来の物語のまま製作を進めるか、あるいは物語を大きく変更するかの選択を迫られたマーベル。
マーベルが選んだのは、ティ・チャラに代役は立てられない、という結論でした。
そういった経緯で制作された本作『ワカンダ・フォーエバー』。
物語の冒頭から、まるで現実とリンクするような形でティ・チャラの病没が描かれるとは…。
改めて、偉大な存在を失ってしまったということを、見ているこちらにも強く印象づけられましたね。。
MCUは長いシリーズものであるため、現実の都合で役者が変更することは過去にもありましたが、やはりティ・チャラはチャドウィック・ボーズマン以外にありえない、という思いを強く感じさせる作品でした。
“悲しみ“と“追悼“
『ワカンダ・フォーエバー』の作中にずっと横たわっているのが、偉大な存在を失った“悲しみ“というもの。
本作の主人公として描かれるティ・チャラの妹シュリは、兄を失ってからの1年間は研究室に籠りきり。
母ラモンダに、悲しみと向き合うために葬儀の衣服を燃やす儀式を勧められますが、これも完全拒否です。
それほどまでに、兄を失ったことは、辛い。
今作の激動の出来事を経て、その間に恐らく何度も「兄がいたら」と考えただろうな、と想像がついてしまいます。
誤魔化すことなく、シュリの目を通して、あるいは母ラモンダの目を通して、ティ・チャラの喪失とその悲しみをとことん描く。
だからこそ、ラストシーンでシュリが自ら喪服を燃やすことができたのは、ようやく一歩進むことができたということ。
あの時の揺れる火とともに、観客であるこちらも、ティ・チャラの喪失をようやく受け入れて、追悼できるような心地になったような気がします。
②タロカンの存在と新たな登場人物
本作では、ティ・チャラの喪失とその悲しみを描きつつ、ワカンダが世界の情勢と戦いに巻き込まれていく…という物語が描かれます。
そこで新たに新たな勢力として登場したのが、タロカン!
深い海の中に沈む帝国で暮らす、青い肌の人々。
海底の人工の太陽のもとで、長い年月を経て豊かな暮らしを営んでいるようで、ディズニー作品の『アトランティス』や、青い肌の様子から『アバター』で描かれる人々を彷彿とさせられましたね!
ほぼほぼ誘拐という形で連れてこられたシュリですが、潜水服を身にまとってタロカンを眺めるシーンは、まだ見ぬ未知の世界を見るワクワクが伝わってきて、とーっても印象的なシーンでした…!
ネイモアの生き様
そんなタロカンの皇帝は、ネイモアという人物。
タロカンの民の中で唯一地上でも呼吸が可能であり、超人的な力と両足首から生えた羽を持ち、空中を自由自在に動き回ることができる能力を持ちます。普通にめちゃ強い。
ただまあその生い立ちはなかなかに業が深いもので。
母の一族が地上での迫害から逃れるべく、特殊な植物を口にして水中で生きられる体へ変化し、海へ逃れたことが、タロカンの始まりでした。
生き延びるためとはいえ、一族があの草を服用した時点ではまさか二度と地上で暮らせなくなってしまうとは思っていなかっただろうなあ…。
そのとき母親のお腹にいたネイモアは、草の影響を他の面々とは違った形で受け、現在のような姿になり、タロカンの希望の星として皇帝になったのだとか。
そういった経緯もありますし、そんなネイモアが母の埋葬のために訪れた地上で行われていた人々への非人道的な扱いを見て、“地上世界は野蛮だ“という考えを持つのも無理は無いような気がします。
シュリ、及びワカンダに対して「一緒に地上世界を滅ぼそう」などと不穏な相談を持ちかける一方で、タロカンの民に優しく接し、その国を見事にまとめ上げるネイモア。
自国の民には慈悲深く、敵対者には容赦ない。
今作では紛れもなくメインヴィランの立ち位置ではありましたが、一国の王として民を守ろうとする強い責任感があるのも確かなんですよね…。
どんな手を使ってでも自国と自国の民は守る、という強さと覚悟を持つ人物なわけで、非常に惹かれるものがあります。←
今作ではそんなネイモアという人物の生き様もしっかりと描いてくれるのが良かったなと思います。
リリ・ウィリアムズの登場
今作で初登場したリリ・ウィリアムズ。
ワカンダとタロカンが後に戦いに至るきっかけであるヴィブラニウム探知機を作ってしまった張本人ではありますが、まだ19歳と非常に若い!
さらにはアイアンマンスーツに匹敵するようなアーマースーツも自作しているあたり、かつてのトニー・スタークを思い出すような天才科学者、というわけです。
リリにとってみれば、大学の課題で提出した作品がまさかそんなことになっているとは思わないわけですし、タロカンからもアメリカ政府からも目をつけられてしまって災難としか言いようがない。
ただ、そういうあれこれに巻き込まれつつも、最終的にはラモンダへの恩を返すために、ワカンダの手が加わったアーマースーツで戦う姿が良かった。
リリの物語は、ドラマ『アイアンハート』で描かれるので、次はこちらも楽しみたいところです!
シュリに突きつけられる選択
さて、そんなリリを救うべく奮闘したものの、リリと一緒にタロカンに連れて行かれることになったシュリ。
そこでタロカンの真の姿を目の当たりにして、ネイモアが単なるヴィランではなく、守るべきものを持った皇帝であることを知った彼女に、ネイモアは究極の選択を突きつけます。
これからもタロカンの民が無事に生きていけるように、地上世界に見つからないようにするために、ヴィブラニウム探知機を作れる科学者(=リリ)を抹殺する。
あるいは、タロカンが見つかってしまう危険を取り払うために、ワカンダが協力して一緒に地上世界を葬り去る。
ネイモアにとってみれば、どんなことがあろうと、たとえどれほど手を汚そうと、タロカンを守りたい。
そのためにリリの命を奪うことは、大義のためには小さな犠牲を許容すること。それはいとわない、ということでしょう。
ただ、ワカンダ及びシュリの立場としては、リリの命は守りたい。
でも、タロカンと手を携えて自分たち以外の地上世界を全て滅ぼすことは、あまりにも重い。
ここに、ネイモアとシュリの人間性の違いが現れているように思います。
結局、ナキアの介入によってタロカン側に死者が出たことで、タロカンとワカンダの争いが避けられないものとなってしまいましたが、もしそれがなかったとしたら…?
物語はどう転がっていったのだろう、シュリはどういう道を選んだのだろう、と考えさせられましたね…。
③戦いと喪失と
迎えてしまったタロカンとワカンダの争い。
共にヴィブラニウムを用いる国であるからこそ、これほど激しい闘いになったのだろうな…。
タロカン側の侵攻と喪失
タロカンの民に犠牲が出たことで、復讐としてワカンダに侵攻したネイモア。
水を操り、空を飛び回り、それぞれの人物が超人的な力を持つタロカン、非常に強い。
圧倒的な技術力を持つワカンダですら、その奇襲にはなすすべもなく首都が破壊されてしまいました。
そして、まさかのシュリの母ラモンダがネイモアの襲撃により命を落としてしまいます。
ただでさえ、兄ティ・チャラの死を引きずっていたシュリ。
その死から全く立ち直れていないのに、とんでもないダメ押しが来るとは。
それも、自身が一時は心を許したネイモアの手によって。
その結果、ハート型のハーブを作り出すことに成功するも、儀式で現れたのが“キルモンガー“だった、という展開がシュリの心情を非常によく表していましたね。
そうだよな、キルモンガーも復讐の化身だった。
母を失った今、シュリの心にあるのは、ワカンダ王国やそこで暮らす民を守る、ということよりも“母の仇を討つ“という思いが強いのだよな…。
短期間であまりにも沢山のものを奪われてしまった、シュリ。
そのやるせなさ、怒り、憎しみに共感しつつも、とはいえその争いは複雑に絡まった事情の末に勃発してしまったわけで、一体どうすれば良かったのかと見ているこちらも頭を抱えてしまいます。
その戦いは何のために
ネイモアはタロカンを守りたい。そこで暮らす民を守りたい。
シュリも、ワカンダを守りたい。そこで暮らす民を守りたいし、不当にまだ若いリリが殺されるのを黙って見ているつもりはない。
どちらにも「自分の国と民を守りたい」という切実な思いがあるのに、そのためにどこまでの犠牲を許すのかという決定的な違いによって生まれてしまった今回の戦い。
その被害は甚大で、お互いよく健闘はしましたし、ワカンダ陣営も新しい“ミッドナイトエンジェル“といったスーツを持ち出したりといい戦いではありましたが、当然両陣営に死傷者は出てしまったわけです。
なんというか、ヒーローとヴィランが戦う!というのが定石のヒーロー作品の中で、シュリとネイモアの関係は限りなくグレーで、単純にヒーローとヴィランに分けられず、ありとあらゆる事象の結果、避けようがなく戦わざるを得なくなってしまった、という印象が近い今作。
現実の争いにも、守りたいものがぶつかり合い、憎しみが新たな憎しみを生む側面があるのだろうな…と考えさせられます。
もちろん、だからといって誰かを傷つける行為が正当化されるわけでは無いのだけれど。
だからこそ、最終的に復讐の輪を断ち切って、ネイモアを殺さず、復讐の連鎖を断ち切る道を選んだシュリの姿は、素晴らしかった。
ワカンダのテーマが流れる中、シュリが叫ぶ「ワカンダ・フォーエバー」が、これまでの悲しみもしがらみも解き放って、前に進んでいくような強さがあったように思います。
総合的な感想
映画『ブラックパンサー』の続編にして、MCUシリーズフェーズ4の最終作品となった今作『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』。
偉大な存在を失った時、残された人々はどうするのか。
そして、残された人々の前に困難が立ちはだかった時、どう戦っていくのか。
そういった人の強さを感じさせてくれるような、しっとりとしていて、でも力強い、そんな作品だったなと思います。
ブラックパンサーというヒーローがシュリに受け継がれて復活を遂げる物語ですが、それまでの経緯や過程にたっぷり時間を使って描いているのが良いなと思います。
それくらい、ティ・チャラの死は重かった。
現実の出来事とリンクして、その重さ、喪失の大きさに改めて見ているこちらも心を打たれます。
単なるヒーローものの映画、というよりは一つの国の在りようを描く、地に足ついた物語だなという印象を受けた今作。
フェーズ4は主に『エンドゲーム』後の世界で、変化なり喪失なりを経た人々がどう進んでいくのか、次世代への継承と代替わりを描くような作品が多くラインナップされていますが、その中でもとりわけ“ブラックパンサー“の継承は重かったのだと思います。
だからこそ、今作はフェーズ4の締めくくりにぴったりの作品でした。
ブラックパンサーとなったシュリ。
ネイモアの元で引き続き繁栄を続けるタロカン。
そして、ティ・チャラの息子である、トゥーサン。
彼ら、彼女らが今後の世界でどう活躍するのか。ワカンダとタロカンが世界の中でどういった立ち位置となっていくのか。
残された課題もまだまだ豊富にありますが、きっと今のシュリならかつてのティ・チャラに負けず劣らず、しっかり前を向いて歩んでいけるのだろうなと思わせてくれるような作品でした。
まとめ
今回の記事では、映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』について、ネタバレありで感想&考察をお届けしました。
- 『ブラックパンサー』の続編であり、ティ・チャラを失ったワカンダと遺された人々を描く作品
- チャドウィック・ボーズマンへの追悼が物語全体に重なり、喪失の悲しみが大きなテーマとなっている
- 海底王国タロカンと、その民を守るために戦うネイモアが登場
- 天才発明家リリ・ウィリアムズのヴィブラニウム探知機が、二つの国の対立のきっかけになる
- 兄ティ・チャラに続いて母ラモンダまで失ったシュリは、復讐心に揺れながら新たなブラックパンサーとなる
- シュリがネイモアを殺さず復讐の連鎖を断ち切る決断に、ヒーローとしての成長が表れる
- ラストの喪服を燃やす場面は、シュリが悲しみと向き合い、前へ進む大切な一歩
- ティ・チャラの息子トゥーサンの存在が明かされ、ワカンダの未来へ新たな希望がつながる
本作で一番心に残ったのは、シュリがネイモアにとどめを刺さず、復讐を終わらせる道を選んだこと。
ハート型のハーブを口にしてブラックパンサーの力を得たとき、シュリの心を満たしていたのは、兄や母を失った悲しみと怒り。だからこそ、祖先の世界で彼女の前に現れたのはキルモンガーだった。
でも、強い力を手に入れたことと、ティ・チャラが大切にしていたものを受け継ぐことは、きっと同じではない。
ネイモアを殺すこともできたシュリが、そこで踏みとどまった。
その瞬間にこそ、シュリは本当の意味でブラックパンサーの意志を受け継いだように見えます。
ラストシーン、海辺で一人、喪服を燃やすシュリ。
兄を忘れるのではなく、兄を愛した記憶を抱えたまま、ようやく前を向く。あの静かな場面が、激しい戦いのどのシーンよりも胸に残っています…!
”ワカンダ・フォーエバー”
それは、国が永遠に続くという願いだけではなく、ティ・チャラの想いが、残された人々の中で生き続けるという言葉でもあるのかもしれません。


