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『星つなぎのエリオ』ネタバレ感想&考察 |孤独と友情が交差する、夏に観たい感動の宇宙物語

『星つなぎのエリオ』ネタバレ感想&考察 |孤独と友情が交差する、夏に観たい感動の宇宙物語

こんにちは、ゆーです!

 

今回の記事では、2025年8月1日公開(日本)のディズニー・ピクサー映画「星つなぎのエリオ」についてネタバレありで映画の感想&考察をお届けします◎

 

 

ゆー

きらきら輝く宇宙を舞台に描かれる今作品。早速見ていきましょう!

 

 

映画概要・あらすじ(星つなぎのエリオ)

劇場公開日2025年
監督マデリン・シャラフィアン (『リメンバー・ミー』), ドミー・シー (『私ときどきレッサーパンダ』), エイドリアン・モリーナ (『リメンバー・ミー』)
制作メアリー・アリス・ドラム (『リメンバー・ミー』)
上映時間99分

 ひとりぼっちの少年・エリオは、一番の理解者の両親を失った寂しさを抱えて、大好きな宇宙にいつも思いを馳せていた。 「この広い世界のどこかに、“本当の居場所”があるはず」彼の切ない願いが届き、 星々の代表が集う夢のような“コミュニバース”に招かれる。そこで出会ったのは、同じように孤独なエイリアンの少年・グロードン。 「そのままの君が好きだよ」―心を通わせる彼らに迫る、“星々の世界”を揺るがす脅威。 それを救うカギは、グロードンがエリオに打ち明けた“ある秘密”にあった—。

 

【ネタバレ感想】

以下より物語のネタバレを含みます

 

①ひとりぼっちのエリオと宇宙を夢見る日々 

ボイジャーのゴールデンレコード

物語の幕開けは、幼いエリオとその叔母オルガが、オルガの職場である軍の基地で食事を取るシーン。

このシーンにて、エリオがまだ両親を亡くして、おばに引き取られたばかりであることが示唆されます。

 

状況を受け入れることができず、おばの問いかけにもほとんど応えず、挙げ句食事場から逃げ出してしまったエリオ。

逃げ出した先で出会ったのは、”ボイジャーのゴールデンレコード”の展示でした。

 

”ボイジャーのゴールデンレコード”とは、地球外知的生命体に向けて人類の文明の記録を伝える…、という壮大な目的のために作り出されたもの。

1977年に打ち上げられたボイジャー探査機に搭載されたレコードで、今なお存在するかも分からない地球外知的生命体に出会うため、宇宙空間を漂っていのだと言います。

 

お恥ずかしながら…実は私個人はこの映画を見て、初めて”ボイジャーのゴールデンレコード”の存在を知りました。

今から50年ほど前の人間がそういった事を考えて、実際に行動して、そして今も宇宙を漂っている…。

そんなものが現実に存在するのか、ということに驚きましたね…!

 

このときの体験は、幼きエリオの心に深く刻まれました。

次第に、宇宙には地球外知的生命体が存在するということ、いつかそこに行けるのだということを信じ、胸の内で大きく夢として膨らんでいくのでした。

 

ゆー

冒頭からシビアなエリオの状況に、ぐっと心を掴まれます…。

 

エリオとおば・オルガの生活

年月を重ね、幼かったエリオは11歳に。

幼き日に秘めた宇宙への思いを大きく羽ばたかせ、毎日のようにビーチに出かけては無線で宇宙との更新を試み、宇宙人に「ぼくをさらって!」というメッセージを投げかける日々を送ります。

 

年月を経ても両親を失った悲しみは癒えることなく、それ故におばのオルガとうまく生活することもできず。

宇宙への憧れや思い、強すぎる興味とその孤独は、他の同年代の友だちを遠ざけてしまい、いつもエリオは孤独を抱えています。

挙げ句、エリオの”無線クラブ”に興味があると言って近づいてきた同級生と反りが合わず、取っ組み合いの喧嘩にまで発展してしまうのでした。

 

寂しさ故に素直になれない。寂しさ故に暴力を振るう。

このときのエリオの行動は、たまたま最近見た『リロ&スティッチ』のリロの行動に重なるものがありましたね。。

 

エリオの背景を知らなければ、ともすればただの”憎たらしい扱いにくい子ども”と見えてしまう。

でも、その背景を、その心情の想像ができるから、こちらとしては胸が痛くなる。

その塩梅がうまく、分かりやすく、ダイレクトに心にくるものがありました。

 

エリオがある意味異常なまでに宇宙に傾倒しているのも、”単に宇宙が好きだから”というだけではなく、その寂しさが根底にあるんだろうなあ……。切ないなあ。

 

ゆー

エリオが抱えている孤独がいかに深く根深いものか、というのを強く印象付けてくれます。

 

宇宙からのメッセージ

そんなある日、オルガの職場である軍の宇宙研究施設(多分)に所属する無線マニア”メルマック”が、宇宙からの更新をキャッチします。

 

血相を変えて、全力で職場の人達に「これは間違いなく宇宙からの交信だ!!」と語りかける(というよりもはや叫んでいる)メルマック。

ああこれは、もう完全に”ガチ”のマニアのお方ですね…!笑

分かるよ、とても分かる…。私もディズニー映画見た後とかそういう状態になっているよ…。

…、客観的に見たら、結構ヤバい雰囲気なんですね……、反省はしておきます。

 

奮闘悲しく、職場の人達には宇宙人の存在は納得してもらえず、あえなくその場を立ち去らせられるメルマック。

可哀想に。でも難しいんだよなあ。

興味がない人に、自分がマックス興味あることがいかに魅力的かを伝えるのは。

 

そこにちゃっかり忍び込んでいたのは、エリオ。

職場の人が全員立ち去った後に、エリオは急いで宇宙へのメッセージを返します。

 

お願い、誰か早く迎えに来て!
またね、ありがとう、大好き!

 

同時に、宇宙へと送り返す膨大な電力により、基地は停電してしまうのでした。

 

ゆー

宇宙へのメッセージを吹き込むときの、エリオのきらきらした目の奥には、内に抱える重く暗いものがあり…。
その思いが、あのメッセージの必死さにつながったんだろうなあ…と思います。

 

サマーキャンプの夜に

基地を停電させてしまったことでオルガから大目玉を食らうエリオ。

もう手に負えない、と判断したオルガはエリオに寄宿学校行きを提案し、翌日からサマーキャンプに連れて行く事を決断するのでした。

 

「もう私には無理」とオルガがこぼすのを聞いてしまったエリオ。

このときの表情がもう辛いです…。

 

翌日、サマーキャンプの場には先日取っ組み合いの喧嘩をした同級生がおり、エリオはその夜嫌がらせを受けてしまいます。

これ、”嫌がらせ”という表現にしましたが、2人でエリオを押さえつけて、一人が正面から顔面パンチを食そうとしているので、もうれっきとした暴力でした。。

 

一方、エリオをキャンプに預けたことで葛藤するオルガのもとに、今度こそ宇宙からの明確なメッセージが届きます。

軍基地内のPC、モニターが全てジャックされ、とある文字が浮かび上がったのです。

 

地球のリーダーを連れてきて

 

地味にこのメッセージが出てくるシーンが、結構ホラーでしたね!笑

一斉に消えるモニター。そして徐々に浮かび上がる、言葉。

それも結構おどろおどろしい感じで浮かび上がって来る上、部屋中のPC、モニター全部が乗っ取られているわけなのでかなり怖いです。

 

エリオが殴られそうになったその瞬間、そしてオルガにメッセージが届いた瞬間――

宇宙からの“誘い”が、エリオのもとに舞い降ります。

そしてそのまま、彼は謎の宇宙船に吸い込まれていくのでした。

 

②コミュニバースとグロードンとの出会い

様々な生き物や技術・文化が息づくコミュニバース

エリオが吸い込まれた先は、宇宙中の高度な文明を持つ生物が集まる、”コミュニバース”

そこには、宇宙から選ばれた星々の大使たちが集まり、日々お互いの技術や文化を交流して発展を続けているのでした。

 

コミュニバースに招かれたエリオは、様々な生き物や技術に出会います。

重力調整・温度調整、そして宇宙中ありとあらゆる言語の調整ができる便利なディスク。

豊富な知識で案内してくれるお助けコンピュータの”ウゥゥゥゥ”

水が流れ落ち大層美しいコミュニバース内のお手洗い。

宇宙の神秘になんでも答えてくれる”お役立ちマニュアル”

 

コミュニバース内の全ての生き物が、存在が、エリオを受け入れ、受け入れられたことにエリオは舞い上がります。

 

ただ、ここに大きな誤解があるんですよね。

コミュニバース側はエリオのことを地球のリーダーだと思い込み、その上で受け入れています。

一方エリオはただの少年。リーダーどころか大人ですら無い”子ども”です。

 

はじめは無邪気に喜んでいたものの、徐々にそのことに気が付きハッとするエリオ。

でも、せっかく受け入れてくれた、長年ずっと待ち望んだ宇宙での居場所を手放したくない。

その一心で虚勢を張り、あくまで地球のリーダーとして振る舞うことにするのでした。

 

ゆー

そりゃあエリオにとってみれば、もうコミュニバースは手放せない場所だよなあ…。

 

グライゴン襲来、そして交渉へ

そんなコミュニバースに、エリオとは別の大使候補としてやってきていたのが、グライゴン

しかし、彼の過激な思想はコミュニバースに受け入れられず、逆上したグライゴンは
「コミュニバースをぶっ壊してやる、覚悟しろ」と言い放ち、自らの船へと引き返していったのでした。

 

突然の脅威に恐れおののくコミュニバースの住人たち。

エリオのコミュニバースへの入会は一旦中止となり、皆その場から逃げ出そうとします。

 

一方のエリオ。ようやく出会ったコミュニバースという居場所を手放したくない一心で、自らグライゴンとの交渉を引き受けるのでした。

ただでさえピンピンに張っていた虚勢を、更に張り続けるエリオ。

その切実な思いは分かるものの、見ているこちらとしては「やめとけ!危ないよ!!」とハラハラさせられますね。。

 

エリオが子どもであることなど全く知らないコミュニバースの人々は、「地球のリーダーは勇敢だ!」と拍手喝采。

あれよあれよと準備が整い、エリオは操作もしたことがない宇宙船でグライゴンの船へと乗り込み、交渉を行うことに。

 

ところが、やはりと言うべきか交渉は決裂。

グライゴンはコミュニバースへの侵攻を決め、エリオを牢屋のような場所に放り込んでしまうのでした。

 

ちなみにエリオが交渉役を引き受けるに当たり、「地球からいきなりリーダーがいなくなっては混乱してしまう」と危惧したコミュニバース側が、地球でのエリオの身代わりを”クローン粘土”なる道具で作り出すのですが……、これがまた、かなりホラーでしたね!笑

 

エリオのDNAをスライムのようなべちゃべちゃした物体に取り込ませ、にゅうるん…と出てきて、最後にようやくエリオと瓜二つの形になる、という仕組み。

なんであんなににゅるにゅるべちゃべちゃしているんだ。怖いよ。←

ともあれ、エリオの身代わりも無事に誕生。これで地球にいるオルガもエリオの不在に気がつくことなく、一件落着めでたしめでたし!…という筋書きです。

 

ゆー

グライゴンとの交渉にはエリオなりにしっかり準備して臨むわけですが、なかなかうまくいかず。
手に交渉の心得を書いて挑むエリオの心細さや虚勢がよくわかり、こちらはずっとハラハラさせられました…

 

グロードンとの出会いと交渉成立

交渉が決裂し、閉じ込められ悲嘆に暮れるエリオ。

なんとか牢屋の抜け道を見つけ、逃走の糸口を探していたところで出会ったのが、グロードンでした。

 

まるで恐ろしげな虫のような肉体を持ち、沢山の牙で覆われた口を持つグロードン。

でも、そんな見た目に反して彼はとにかくおしゃべりで、初対面のエリオに対してガンガン話しかけてきます。

そして重大な秘密を打ち明けてくれるのです。

実はぼく、子どもなんだ、と。

これを受けてエリオも心を開き、「実はぼくも子どもなんだ」と、今までひた隠しにしていた自らの正体を明かすのでした。

 

地球人の感覚としては、人間が子どもか大人か、というのは一目見るだけで分かる。

でも、初めて出会う宇宙に住む生命体だったら?

大人か子どもかなんて、見た目では判断できないのではないでしょうか。

よく”人を見た目で判断してはいけない”と言われますが、それをちょっといつもとは別のベクトルで突きつけられたような気がしました。

見た目で判断できる事柄なんて限られている。ましてや地球外知的生命体ともなると。

意外とそのことに気づけていなかったなあ…、と思わせられます。

 

さて、グロードンは更に自分がグライゴンの息子であることも明かします。

これを受けて一計を案じるエリオ。

グロードンの存在を、グライゴンとの交渉の”切り札”にすることにするのでした。

 

こうして無事交渉は成立。

グロードンを返すことを条件に、グライゴンにコミュニバースを攻撃しないことを約束させるのでした。

 

グロードンとの友情

その後エリオとグロードンは、グライゴンが迎えに来るまでの間、コミュニバースのあちこちを一緒に探検します

 

歓迎の印としてもらったドリンクを二人で飲みまくったり。

ドリンクを飲みすぎて吐き戻したり。(そういうタイプの飲み物だったのそれ!笑)

コミュニバースの美しい”トイレ”に二人で飛び込んだり。

コミュニバース内を自由自在に飛び回ったり。

 

人生で初めて、一人ではなく”二人で”何かをすることを知ったエリオ。

もちろんコミュニバースに着いたときも嬉しく明るい表情をしていましたが、その裏には緊張と虚勢と虚無、孤独があった。

一方のこのシーンのエリオの表情と言ったら…。

いかにも子供らしく、開けっぴろげに笑っていて。グロードンと過ごす時間がどれほど楽しいものなのか、が特に明確なセリフが無いにもかかわらずぐんぐん伝わってきました。

本当に綺麗だった。

 

ゆー

友情の印の複雑なグータッチも、グロードンと二人で完璧にこなせるようになっていて、思わずこちらも嬉しくなります☺️

 

③コミュニバースの危機と絆

グロードンの不在とエリオの正体が発覚

そんなエリオと1日楽しく過ごしたグロードン。

そろそろグライゴンから迎えが来る、というタイミングでエリオに自分の本音を打ち明けます。

曰く、成人したら必ず着ることになっている鎧。本当はあの鎧は着たくないのだ、と。

そんなグロードンの本音を聞いたエリオは、「じゃあグライゴンの元へは帰らなければ良い」と、クローン粘土で造られた偽りのグロードンをグライゴンの元へ返すことにしました。

 

一見うまく行ったかのように見えたこの企み。

でも、グライゴンには分かったのです。

自らの元へと帰ってきたのは、本物のグロードンではないことが。

 

「本物の息子を返せ!!」と逆上するグライゴン。

グロードンの居場所を知るため、エリオの心の中を強制的に読むようコミュニバースの住人の一人(人の心を読めるクエスタ)に指示します。

そして、ついにバレてしまうのです。

エリオが実は地球のリーダーなどではなく、ただの子どもであることが。

 

一方本物のグロードンがエリオの宇宙船に隠れていることを知ったグライゴンは現場に急行します。

ところが、宇宙船は予期せぬ誤操作によって地球に飛び去ってしまった後だったのでした。

 

これによりグライゴンはコミュニバースへの攻撃を開始。

一方エリオは、クエスタの計らいにより「子どもは故郷に帰さねば」ということで、半強制的に地球に送られてしまうのでした。

 

エリオと1日過ごして本音を打ち明けたグロードンの気持ち。

そんなグロードンの気持ちに応えようとしたエリオ。

一瞬で偽の息子を見抜いたグライゴン。

子どもであるエリオを真っ先に逃がそうとしてくれたクエスタ。

 

それぞれの気持ちはとても優しく温かく。

でも事態は複雑化し、割と取り返しのつかないところまで来てしまったのが非常にやるせない展開でしたね。。

 

ゆー

そんな騒動の裏で、地球に住むオルガおばさんも自らの元へと帰ってきたエリオが偽物であることに気が付きます。
血がつながっていなくても、本物と偽物の見分けがつくのか…というところは感動もの。

ただまあ、偽エリオの髪の毛がひとりでに歩いて、眼帯を外すあのシーンはかなりホラー強くて怖かったです😅

 

地球に帰されたエリオ

居場所だと思ったコミュニバースも失い、グロードンとも別れて悲嘆に暮れていたエリオ。

浜辺にオルガおばさんの姿を見つけますが、オルガは偽エリオとにこやかに会話を交わしており、その様子にも強い悲しみを覚えるのです。

 

地球なんてどうでもいいと思っていた。

決して自分の居場所ではないと思っていた。

なのに、オルガと偽エリオのにこやかなやり取りを見ると心が痛む。

そのことをエリオがはっきりと自覚するシーンでもあります。辛い。

 

静かにその場を離れようとするエリオですが、その物音にオルガが気が付き、エリオに向かって話しかけます。

エリオは一旦は普通に振る舞い声を交わしますが、オルガは違った。

「本物のエリオなの?」と目を潤ませながら声をかけ、エリオのことを力いっぱい抱きしめるのでした。

よく見ると、オルガのまわりには砂で文字が書かれていました。

”宇宙人たち、エリオを返して”…と。

 

オルガは気がついていたんです。

家にいるのが偽のエリオで、本物のエリオは宇宙に連れ去られてしまったということを。

そして、本物のエリオがいない生活が、どれほど寂しいものなのか、ということを。

 

地球に居場所はないと、どうでもいいと思っていたエリオ。

でも違った。そこには明確な家族がいた。

そして、その家族から”愛される”ことを、どれほど望んでいたか。

”愛される”ことがどれほど嬉しいことかに気がつくのでした。

 

このシーンが本当に美しく…。

満点の星空のもと、夜の砂浜で抱き合うエリオとオルガ。

お互いの気持ち、思いをようやく共有して、受け入れて、涙を流しながら抱き合う姿にこちらも涙が止まらなくなりました。

 

グロードンのため、エリオとオルガが力を合わせる

さて、そんなエリオとオルガのもとに偽エリオが「なんか宇宙船があるらしく騒ぎになっているよ」と呼びかけます。

唐突な明るい雰囲気の偽エリオ、なんか良いです。笑

 

「あれはぼくの宇宙船だ、中に友達のグロードンがいる、助けなくては」とエリオ。

「友達ができたの!」と喜びつつ、エリオの思いに応えるべくオルガも動きます。

 

さてここで再度活躍したのが偽エリオ。

厳戒態勢の基地に忍び込む際に、職員の気を引くため、職員の眼の前でドロドロになって溶ける…という作戦を実行するのでした。

 

暗がりから子どもの声を響かせ、徐々にドロドロに溶けていく偽エリオの姿は、ホラーそのもの。

この映画、ちょいちょいホラー描写を差し込んできましたが、このシーンがダントツでした。←

最後は親指を付きたて、ドロドロに溶けて地面に沈んでいきました。ターミネーター2の「I'll be back」のオマージュかな…?笑

絶叫し持ち場を離れる職員たち。分かるよ、その気持ち。しばらく悪夢に悩まされそうですね…可哀想に。笑

 

基地内への侵入を果たしたエリオとオルガ。

グロードンのいる宇宙船は膜で覆われ、無菌服を身に着けたスタッフが出入りしていました。

うん…?これも「ET」のオマージュかな…?

スタッフの服装を真似したエリオとオルガはなんとか宇宙船へ。中には、地球の気温に適応できず弱ったグロードンの姿がありました。

 

グロードンを救うため、コミュニバースの父親の元へ返す。

そのためにエリオとオルガは宇宙船の操縦桿を握り、宇宙へと飛び立つのでした。

 

無線マニアたち

ところが、宇宙へと飛び立ったは良いものの、地球の周囲には危険なデブリがたくさんあり、コミュニバースへのハイパースペースを利用した移動はできず。

エリオとオルガは予測不能なデブリが飛び交う危険な地帯を飛行する羽目になります。

 

そこで二人を助けたのは、宇宙人の存在を声高に叫んで職場から連れ出された、あのメルマック!

同級生の無線機を経由して、メルマックの計算を元に的確にデブリを避けていきます。

良いぞ、メルマック!かっこいいぞ!

鼻息荒く、全力で自らの持つ知識を総動員してエリオとオルガに的確に指示を与えていく姿、最高でしたね!!笑

何より、ともすれば”変態的”な趣味が、実際に人名に役に立つ瞬間はもう感無量だろうな…と思います。良いぞ!

 

その後メルマックとの交信圏内を外れてピンチに陥りますが、今度は地球のあちこちに住む別の”無線マニア”たちからの声が。

そう、メルマックは孤独ではなかった。この広い地球には他にも同じような熱量で、同じ対象に対して思いをかけている同士がいる。

いやあこれ本当にどれほど嬉しいことか……。

 

私自身、こうしてディズニー映画のファンとしてやってきていて、毎度かなりの熱量をもってブログ記事を書いたりしているわけですが、なかなか周囲で同じ熱量で話せる人はいないものです。

それなりに知名度がある対象ではあるので、ある程度話すことはできるんですが、あまり深く突っ込むと引かれそうだな…、と思って社交辞令的な感想を述べていることのほうが多いんですよね。←

それが、このシーンのように他の場所にも同士がいることが分かったら。

それがどれほど嬉しく、素敵なことかを思うと、このシーンでも再び涙が止まらなくなってきてしまいました。

 

そんな無線マニアたちの助けを得て、なんとかエリオとオルガはコミュニバースにたどり着くのでした。

 

Tips

ちなみに”デブリ”とは、宇宙空間に存在する不要な人工物体のこと。
宇宙空間に撒き散らされていて、高速で地球を周回しているため、他の人工衛星や宇宙機に衝突する可能性があり、大きな課題の一つとなっています。

個人的には、たまたま直近大阪万博のガンダムパビリオンを訪れたことでこのデブリの存在について知りました!笑
意外とこのあたり説明無しに進行するので、驚いたポイントでもあります。

 

親子の絆、家族の絆、友達の絆

憔悴したグロードン。

その姿を見たグライゴンは、真っ先に駆け寄り、自らの鎧を脱ぎ捨て、グロードンを抱きしめ温めるのでした。

 

グライゴンにとって、鎧は自らの象徴でもあり、種族的な誇りであり、一度身につけたら一生脱がない…とされているもの。

それを速攻で脱ぎ捨てる判断をしてまで息子を救おうとした。

そのグライゴンの姿には胸を打たれます。

 

無事元気を取り戻したグロードン。

そしてエリオには、コミュニバースの大使としての資格が与えられました。

コミュニバースにエリオを迎え入れる。たとえ地球のリーダーではなくても、エリオはコミュニバースにふさわしいのだ、と。

 

ところがエリオは、その申し出を断り、オルガのいる地球へ帰る決断をするのです。

 

コミュニバースは、宇宙は、エリオにとって生涯の望みだった。夢だった。

でもその夢は、たしかに夢だったけれど、でもその裏には、オルガに愛されたいけれど血のつながった家族ではないことの負い目や、地球での孤独があった。

オルガに愛されているのだとはっきり自覚した今、エリオの夢は姿を変えたのだと思います。

ただ逃げるようにして宇宙に憧れていたときから、更に違う形へと。

 

その決断は、親友であるグロードンとの別れも意味していました。

最後にグロードンとエリオは固く抱きしめ合い、エリオとオルガは地球へと帰っていきます。

今は確かにお別れだけど、きっと最後じゃない。

「またね、ありがとう、大好き!!」

 

ゆー

ラストシーンでは、基地の職員、同級生、メルマック等々地球の人々がはっきりとコミュニバースの姿を目撃します。
この出会いが、将来の宇宙研究を大きく変える。地球人のあり方を変えることになるのだ、とはっきりと示唆するような希望のあるフィナーレでした。

 

ミドルクレジット:地球のエリオと宇宙のグロードン

フィナーレの後のミドルクレジットシーンに、ご褒美のようなシーンが残されていました。

舞台は地球の浜辺。エリオとその同級生とが肩を寄せ合い、一緒に無線機を操作すると、そこからグロードンの声が聞こえてきました。

 

エリオとグロードンは一旦はお別れをしましたが、ちゃんと無線でつながっていました!良かったあ…。

その楽しげな会話は、そのやり取りが一過性のものではなく、ずっとあの時から継続していることが思わせられ、とても素敵です。

あと、エリオも同級生の彼と友だちになれたんだね!良かった!

 

こうして物語は幕を下ろします。

 

総合的な感想

グライゴンとグロードンの親子の絆、オルガとエリオの家族の絆、エリオとグロードンの友達の絆

そのどれもが本当に美しく。

そしてそれら全てが織りなした結果もたらされた今回の結末は、見ているこちらに「あなたは独りぼっちじゃないよ」と優しく語りかけてくれるものでした。

 

本当に良い映画だったなあ…。

 

ディズニーらしいド王道、ド直球の物語でありつつ、誰の心にも響きやすいキャラクターたち。

そして宇宙を描くその映像の美しさに、ずっと魅せられる90分間でした。

 

強いて言うなら序盤のエリオの行動の意味(意味もなく暴れたり、むやみやたらに明るく振る舞ったり、友達をいきなり殴ったり…)が感覚として理解されにくい部分もあるかも知れませんが、それも何度か見返すうちにしっくり理解できる程度に、うまく創られているなあと思います。

 

何度見ても味わい深く、人生としての局面が代わり、立場が変わる毎に、それぞれ異なるシーンで心を震わせることになる作品なのだと思います。

 

まとめ

 

今回の記事では、映画『星つなぎのエリオ』について、ネタバレ感想をお届けしました。

 

映画についてのまとめ
  • ピクサーらしい映像美と宇宙世界の圧倒的なスケール感に引き込まれる
  • 孤独な少年・エリオが友情・家族・居場所と向き合う成長物語
  • グロードンやオルガとの絆が涙を誘い、ラストには確かな希望が残る
  • 子どもも大人も共感できる、“誰もが一度は感じた寂しさ”を優しく描く良作

 

夏休みにぴったりな感動作『星つなぎのエリオ』。

宇宙と地球を舞台に、孤独な少年が出会う友情と家族の絆を描くこの映画は、誰もが抱える“寂しさ”にそっと寄り添い、心を優しく照らしてくれる作品でした。

とっても良かった!

 

ブログでは他にもピクサー作品のネタバレ感想記事を掲載しているため、合わせてチェックしてみてください👀

 

また、ピクサーの作品一覧については以下記事にまとめています。

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